話しづらくなる
ぼくのなつやすみ2のボクくんが言った。
「大人になるって、誰かと話しづらくなること?」
その一言に、なんとなく、うんうん、とうなずいてしまったのだ。
大人になれば、下手に誰かに話しかけるのは難しい。見知らぬ人に話しかけることは苦手だという人もいるだろう。でも子供であれば、誰かに話すことはたやすい。それは、人に裏切られたり、傷つけられたりした経験が薄いからだろう。大人であれば、もしかしたら、という先回りした気持ちによって誰かと話すのが躊躇される場面も多い。
でもきっと、ボクくんはいろんな人と話す。話して、経験を積んでいく。そこで終わらせないでほしい。傷ついたからと言って、悲しくなったからと言って、誰かと話すことを億劫なことにしてしまえば、余計傷ついてしまうことになるかもしれない。
恋をしたりすると特にそんな現象に陥ってしまうかもしれない。私だってそうだ。まだ学生で、恋もし足りない。でもいつまでも誰かと話していたい――誰かと話して知識を得たり、喜んだり、苦しんだりすることは、悪い事ではないのだと思うのだ。
だから、普段なかなか話しかけられない人に話してみたいとも思う。大人になる前に。まだモラトリアム抜けるまでは、子供でいさせて。